「少数の人に深く愛される小さなブランド」はない。ダブルジョパディの法則

ファンを増やせば売上は伸びる、は本当か?

マーケティングの話になると「まずはターゲットを絞りましょう」ということを言ってまして
ターゲットを絞って、1to1マーケティングをして、顧客満足度を高めて、LTVを高める・・。
みたいな、教科書的な勝ちパターンがあるんです。

私も、マーケティングの世界にいて似たようなことを考えてきたのですが
近年よく言われているダブルジョパディの法則によると、それと真逆の事実が提示されています。
マーケティング関連の仕事に関わる方は是非お読みください。

ダブルジョパディの法則とは?

一言でいうと、小さいブランドは二重に不利になるという法則です。
・買ってくれる人の数が少ない(市場浸透率が低い)
・しかも、買ってくれる人の購入頻度も低い(ロイヤルティが低い)
1969年にアンドリュー・エーレンバーグが発見し、のちにバイロン・シャープの『ブランディングの科学』で広まりました。
残酷なことに、「少数の人に深く愛される小さなブランド」は、データ上はほとんど見られません。

一般的なマーケティングの考え方 vs ダブルジョパディの考え方

小さなブランドを対象として、一般的なマーケティングとダブルジョパディの考え方の違いを4つの場面で比べてみます。

1_成長の源泉

まずは、成長の原泉。どうやってブランドの売上を成長させるかの方針です。
・一般的:ロイヤルカスタマーを増やすと売上が安定する
・ダブルジョパディ:買う人の数(市場浸透率)を増やすことが先
ここが一番の違いです。
一般的には「ファンが口コミで新しいお客さんを連れてきてくれる」と考えがちです。
しかし、データが示すのは逆の順番で、買う人が増えた結果として、購入頻度も上がります。
ロイヤルティは原因ではなく、結果ということです。

2_ヘビーユーザーの捉え方

次に、ヘビーユーザーをどう定義するかという捉え方。
・一般的:「こういう属性の人たち」として分析して深掘りする
・ダブルジョパディ:「いま、よく買っている状態」にすぎない
ダブルジョパディの法則においては、
ずっと同じブラントを買い続ける既存顧客いわゆる「ヘビーユーザー」はずっとその状態で留まるのではなく、期間が過ぎれば普通のライトユーザーに戻るという考え方をします。

これは自分自身がものを買う時のことを考えるとわかりやすいかもしれません。
例えば、あるシャンプーを過去使ってたとして、何かのきっかけで新しいものに変えることってありませんか??
ヘビーユーザーがこれからもずっとヘビーユーザーであるとは限らないということです。

3_施策の重心

続いて、マーケティングの重点施策についてです。
・一般的:ポイントや会員ランクで囲い込む
・ダブルジョパディ:認知と、買いやすさを整える
囲い込み施策が向き合うのは、すでに買ってくれている少数のお客さんです。
維持には役立っても、規模を大きくする力は限られます。

既存のお客さんのフォローが不要というわけではありません。
ただ、そこだけに偏ると新しい購入者が増えないので、新しい顧客獲得の工夫が常に必要ということです。

常連客が増えすぎることで、新規顧客が入らなくなって徐々に売上が下がる飲食店なんかもこれにあてはまりますね。

4_市場の捉え方

最後に、狙っていく市場の設定の考え方です
・一般的:ニッチに絞って、刺さる人にだけ届ける
・ダブルジョパディ:広い層にリーチする
「大手とぶつからないようにニッチを攻める」「刺さる人だけに刺さればいい」
戦略的には正しいのですが、ダブルジョパディの視点だと、自分で市場を狭めているとも言えます。

ニッチが意味を持つのは、その市場自体が伸びるときか、メインストリームに広げる足がかりにするときです。
「わかる人にだけ売る」というのは、ニッチではないのです。

じゃあ、何をすればいいの?

以上、一般的な考え方とダブルジョパディの考え方を比較しました。

簡単にいうと
既存顧客だけを見て囲い込む形でマーケティングを行っても
客単価がずっと維持・拡大するわけでもないし、顧客の離脱も常にあるから
きちんと新規客を獲得するための活動を並行してしましょうということです。

ポイントは、2つの「アベイラビリティ(可用性)」を確保しておくことです。

①メンタルアベイラビリティ:買う場面で、そのブランドを思い出してもらえるか
②フィジカルアベイラビリティ:思い出した時に、すぐ見つけて買えるか

たとえば、飲み会のお店選びなら
パッと思い浮かぶのは、行ったことがある、または名前を知っているお店ですよね。
そして、予約しやすくて、アクセスもいいお店が最終的に選ばれます。
どんなに味が良くても、思い出されなければ候補に上がりません。
思い出されても、使いにくければ選ばれません。

個人事業主や中小企業が意識したいこと

現実の実態で言うと、既存顧客からの仕事で十分に売上のある個人の方や中小企業はたくさんいらっしゃいます。
一方、既存顧客を大切にして時間を使っているのに売上は上がらず効率が低下している方の話もよくお伺いします。

繰り返しになりますが
既存顧客に依存しすぎず、HPや周囲の紹介をうまく使って新規顧客開拓を継続的に行うのがやはり大切だ!ということに尽きるのかと思っています。

SNSやブログを定期的に投稿して近況を報告するだけでも、周囲の人に思い出してもらう機会になるので、ぜひやってみてください!