人の願望と家族との間に

Netflixの話題作「ダウンタイム」を観終わりました。

美容整形という現代的なテーマを題材に、全8話というちょうどいい長さで、医療従事者の職業倫理、そして個人と家族のあり方という普遍的なテーマを描いた作品です。
社会に問いかけるメッセージの強さと、エンターテインメントとしての面白さ。その両方を兼ね備えた傑作でした。

この作品が視聴者に投げかけたテーマは、次の2点だと私は捉えています。

① 人がよりよく生きるとはどういうことか?そのために医療が果たすべき役割とは何なのか?
② 個人の願望と家族の想いが真っ向からぶつかったとき、人はどうすべきなのか?

この2点を中心に、感想をまとめてみます。

人がよりよく生きるとはどういうことか?

形成外科医の沼田文(松岡茉優)の正義は「患者の命を守ること」。
美容外科医の遠山凛(仲里依紗)の正義は「患者の理想を叶えること」。

物語の序盤は、この2人の正義の対立を軸に描かれます。

私自身、美容整形にはどちらかといえばネガティブなイメージを持っていました。
ですが、この2人の対立を見て、考えが180度とはいわないまでも、120度くらいは変わりました。

どうしても容姿が良いほうが有利に働く社会で、容姿にコンプレックスを抱え、自分を肯定できずにいた人がいる。
その人が整形をきっかけに自分を認め、前向きに生きていけるようになる。

美容整形が持つこうした明るい側面を言語化し、世の中に提示したことには、とても大きな意義があると思います。

個人の願望と家族の想いがぶつかったとき

物語の中盤から後半にかけては、整形をする当事者とその家族との関係に焦点が当てられます。

たとえば、整形によって過去の自分と決別しようとする女性と、その親。
あるいは、親の夢を叶えるために整形をする子どもと、その親戚。

作品の中で整形は、「本当にありたい自分を実現する手段」として描かれると同時に、「親子や親族との決別」としても描かれていると感じました。

もし、自分の子どもが将来「整形したい」と言い出したら、どうするでしょうか。

友人や知人がまっとうな理由で整形するというなら、きっと応援できると思います。
でも、子どもが親である自分から受け継いだ容姿を否定して「整形したい」と言ったら、本当にそれを応援できるでしょうか。

作品の中でも、整形したい(した)人とその家族の葛藤が何度も描かれます。
それぞれが置かれた状況の中で考え抜き、自分なりの答えを出していく姿には、深く心を動かされました。

終わりに ― 夢やありたい姿を支援する第三者の重要性

成長企業の事業拡大を支援している自分にとっても、共感する部分の多い作品でした。

全編を通していちばん心に残ったのは、仲里依紗さん演じる凛先生の「患者の変わりたいという意思を尊重する」という、美容外科医としての一貫した姿勢です。

家族や周囲が整形にネガティブな反応を示す中でも、主治医として患者の「変わりたい」という願望に寄り添い続ける。
その一方で、責任感が強いあまり問題を一人で抱え込み、うまく人に頼れずに葛藤する姿もリアルで、共感しました。

人が夢やありたい姿を追いかけるとき、身近な人ほど、それを否定しがちです。

「今のままでいいじゃないか」
「うまくいくわけがない」
「見立てが甘い」

もちろん、どう見ても無謀な計画であれば止めるべきだと思います。
ただ、「何かを変えたい」「どうしてもやりたい」という意思は、何より尊重されるべきだと思うのです。

現実的な問題やリスク、トレードオフもきちんと提示しながら、
依頼者のありたい姿や実現したいことを尊重して寄り添い、
そのチャレンジを支援する。

私も、そんな存在でありたいと思っています。

美容整形に興味がある方はもちろん、誰かの挑戦を支える立場にいる方にもおすすめしたい作品です。
ぜひご覧になってください!