スナック経営に学ぶ、個人事業のビジネスモデル

夜の飲み屋街に並ぶスナックや居酒屋の看板

スナックが好きで、よく行っています。
先日福岡のスナックに行ったのですが、地方のスナックってずっと潰れず続けているなー。。と感心していまして。
飲み放題、カラオケ歌い放題で5,000円なのに、どうやって商売成り立ってるんだろう??
と興味が湧きまして、調べてみました。

調べてみたところ、これは個人事業主が仕事をする上でとても参考になるよいビジネスモデルだな・・と思い、まとめてみます。

スナックとはどんな業態か

スナックは、カウンター越しにママと会話をしたり、カラオケを歌ったり、ボトルをキープしたりして楽しむお店です。
キャバクラのように隣に座って接客するお店とは違い、基本は飲食店扱いです。


接待を伴わなければ風営法の許可も不要で、ママ1人でも始められます。
客層は地元の中高年の常連が中心で、地元密着のビジネスです。
なので、スナックは商品というよりも、「ママの人柄」と「お店という場」で勝負する商売です。

なお、ここで取り上げるスナックは、ママが1人、または少人数で営む、常連中心の小さなお店をイメージしています。

・・・ちなみに個人的な意見ですが、従業員が多いスナックは、その分人件費などの固定費がかかっています。
そのため、料金設定が高めだったり、さまざまなオプションを勧められたりすることがあります。
利用するときは、料金システムをよく確認して、冷静に判断しましょう・・。私はよく失敗しています。

スナックの特徴・コスト(固定費が安い、広告費が不要)

「お客さんがあまりいないのに、なぜ潰れないのか」
その答えの一つはコスト構造です。

  • 人件費:ママ1人のワンオペなら0円
  • 原価率:乾き物やお酒が中心で、約20〜25%
  • 広告費:常連の紹介と口コミが中心なので、ほぼ0円

もちろん家賃や光熱費はかかりますが、人件費や原価率が低いのが特徴です。
お酒や乾き物は長期間保存できるので、食材の廃棄も少なそうですね。

参考にした記事のシミュレーションでは、月商56万円のモデルで損益分岐点は月18.5万円です。
1日2人のお客さんでも、まだ赤字にならない計算になっています。固定費が小さいので、売上が落ちても耐えられます。

参考:スナック開業のリアル|ガラガラでも潰れない最強ビジネスモデルとは(こやけ企画)
https://koyake-planning.net/concept/snack-open/
※記事中の数字は、参考記事のシミュレーション値です。

スナックの特徴・売上(常連客が多い)

スナックの売上を支えているのは、新規のお客さんではなく常連客です。
ここで出てくる考え方がLTV(顧客生涯価値)で、1人のお客さんが通い続ける間に使ってくれる金額の合計のことです。

たとえば、1回だけ来て5,000円のお客さんのLTVは5,000円です。
月3回、1年通ってくれるお客さんなら、5,000円×3回×12ヶ月で18万円になります。
同じ1人でも、これだけ差が出ます。

参考にした記事では、月商56万円を、次のような31人のお客さんで達成する想定になっています。

  • 週2回ほど通う「太客」が3人(1回12,000円、合計で月28.8万円)
  • 週1回ペースの常連さんが10人(1回5,000円、合計で月20万円)
  • 月1回ふらっと立ち寄る方が15人(合計で月6万円)
  • 初めて来店した新規・一見の方が3人(合計で月1.5万円)

合計31人で、売上の半分以上をわずか3人の太客が支えています。
顔と名前が一致する30人ほどのファンがいれば、お店は成り立つのです!
大事なのは、常連さんをキープしながら、新規のお客さんを常連に育てることです。(これがママの仕事!)

士業や個人事業主の仕事にどう活かせるか?

スナックの経営の仕組みを見てきましたが、
個人事業主の仕事にも当てはまるポイントがたくさんあります。

特に独立初期の考え方として、非常に参考になりそうです。

1. 固定費を低く抑える

事務所を構えず、スタッフも雇わず、自宅やオンラインで仕事をすれば、固定費は最小限で済みます。
固定費が低ければ、売上が落ちた月があっても焦らず続けられます。
人を増やして規模を広げるのは、安定してからでも遅くないですよね。

勢いでおしゃれなオフィスを借りて高い賃料に苦しんだり、事業が軌道に乗る前に人を採用してトラブルになったり、という話は実際によく聞きます・・。

2. まずは広告より「信頼」で集客する

スナックは看板や広告ではなく、紹介と口コミでお客さんが増えます。
士業やコンサルも同じで、一番強い営業は「あの人なら任せられる」という紹介です。
派手な集客より、1件1件を丁寧に仕事をすることが、新しい顧客の獲得への近道かもしれません。

3. 新規より「継続」を大切にする

スポット案件を追いかけ続けるより、顧問契約や継続支援のように、長く付き合えるお客さんを増やす方が経営は安定します。
LTVの視点から、「このお客さんと何年付き合えるか?」を考えて、事業計画を立ててみましょう。

4. 特定の顧客に依存せず、新しい顧客をつくっていく

常連客が売上の半分を支える構造は、裏を返せば依存のリスクでもあります。
ただ、まずは顔が見える見込み顧客を意識するだけで、日々の動き方が変わります。
大切な数名に頼り切らず、次の顧客を少しずつ育てていくことが、安定への近道です。

最後のまとめ

いかがでしたでしょうか。
スナックは、固定費を抑え、常連と深くつながり、少ない客数でも利益を出す、合理的なビジネスモデルということがよくわかりました。

中小企業診断士として個人事業主の方とお話ししていると
「もっと集客しなければ」と新規獲得ばかりに力を入れて、疲れてしまう方が少なくありません。
しかし、まず考えるべきは、新規の数よりも次の2点です。

  • 損益分岐点:いくら売上があれば赤字にならないのか
  • 既存のお客さんとの関係:関係性を深めて、LTVを高める余地はないか

この2つを押さえるだけで、経営の見通しが立って、必要な新規顧客の数も見えてきて、動きやすくなるのではないかと思います。

広げる前に、まず「潰れない構造」をつくることを、私たちの仕事にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考:スナック開業のリアル|ガラガラでも潰れない最強ビジネスモデルとは(こやけ企画)